Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

構成がとても巧妙、私的海外ドラマ最高作

私が初めてハマった海外のドラマ・シリーズで、86年~94年の長きにわたってシリーズ化された(日本でも深夜放送されていた)。 内容は『L.A.ロー 七人の弁護士』というタイトルのとおりだが、構成がとても巧妙で、1話ごとの起承転結の上に5~6話にわたる…

金持ちと貧乏人の行ける「デジタルのあの世」の差がおもしろい

ネット・ドラマ全盛の中、アマプラでは本作『アップロード』が私的に最高。 死に際して記憶や人格をデジタル世界にアップロードする話だが、お金持ちには優雅で豪華な世界が用意され、貧乏人は出来損ないのマインクラフトのような世界にしか行けない。楽しい…

常にその時代の暗い面をヒーロー活劇の裏に重ね描く

日本を舞台にしたスピン・オフ作品のなかにはトンデモなものもあるのだが、この5枚組セットはどれも『X-MEN』の基本、出来は保証できる。 このシリーズは全体的に、いつもその時代の暗い面をヒーロー活劇の裏に重ね描きこんでいる。特に初期2作は、監督がB・…

女性誌『CREA』の特集“ゲイ・ルネッサンス'91”と双璧をなし、90年代ゲイを救った

まだ「LGBT」という言葉すらなかった'93年の日テレ系ドラマ『同窓会』。 クローゼットの中に隠れていた日本の少年ゲイたちにとっては革命だった。 バイで男にも女にも体を売る少年山口達也(ハダカが本当にキレイだった……再起を願う)、そして自分が好かれて…

与えられるべきものを奪われた子どもたちの悲痛

日本初の劇場型犯罪、昭和59年の“グリコ・森永事件”をなぞりながら、その一部始終のひとつの可能性を、緻密な想像で描く。軸となるのは、犯人でも被害者でもなく、犯罪電話に使われた“声の主”の子どもたち3人。警察とマスコミを翻弄した事件を、20数年を経て…

たぶん根は悪い人間ではない、気まぐれに見える小娘の造形がよい

ブラジルのどこかの田舎町。視力を失いつつある独居老人は、頑固で融通が利かず、大切な手紙も読めない。そんな彼が偶然出会ったのは、サクッと人の物を盗んでいくし、シレっとを人を裏切るような小娘。たぶん根は悪い人間ではない彼女に手紙のやりとりの代…

予告編は観ないで直当たりで観るのがオススメ。しみじみと怖い。

怖い怖い怖い怖い。冒頭、小春(土屋太鳳)一家が襲われる大惨事の数々はコミカルなのに、白馬に乗った王子様である大悟(田中圭)と出会った!──という突然の大きな幸福の後に、気がつけば積み重なってゆく小さな歪み……。シンデレラの話に「哀愁」とつくタ…