Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

常にその時代の暗い面をヒーロー活劇の裏に重ね描く

 日本を舞台にしたスピン・オフ作品のなかにはトンデモなものもあるのだが、この5枚組セットはどれも『X-MEN』の基本、出来は保証できる。
 このシリーズは全体的に、いつもその時代の暗い面をヒーロー活劇の裏に重ね描きこんでいる。特に初期2作は、監督がB・シンガー(ゲイ)で、完全に性的マイノリティの映画。自分の特殊能力に悩み、孤独で、葛藤する少年少女の姿はまさに当時の性的少数者の写し絵。父親を悲しませまいと浴室で必死に自分の背中の羽根を削り落とそうとする少年を見てほしい。