Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

与えられるべきものを奪われた子どもたちの悲痛

 日本初の劇場型犯罪、昭和59年の“グリコ・森永事件”をなぞりながら、その一部始終のひとつの可能性を、緻密な想像で描く。
軸となるのは、犯人でも被害者でもなく、犯罪電話に使われた“声の主”の子どもたち3人。
警察とマスコミを翻弄した事件を、20数年を経て問い直す意義。
元になった事件はいまだ未解決だが、与えられるべきものを奪われた周囲の人たちの悲痛はきっと本物。
意外なドンデン返しもあり、エンタメとしても成立している。