Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

愛し合っているのに、決別する二人。悲しいほどに堅く保守的だった当時の「性」。

1962年、ロンドン。
厳格で裕福な家庭に育った美しい娘と、事故で脳に障害を負った母を持つ青年。
対照的な環境にある二人が恋に落ち、祝福されて結婚するが、互いに経験のないまま迎えた初夜で、はからずも激しい口論が始まり──。
確かに愛し合っているのに、決別する二人。
当時の女性にとっての性は、悲しいほどに堅く保守的なものだった。
ほんの数年後、70年代には“スウィンギング・ロンドン”という若者文化で世俗は激変するのに──。
英国を代表する作家、イアン・マキューアンの『初夜』を丹念に映像化。

【CDジャーナル 2019年5・6合併号掲載】