Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

最初で最後のキス

孤児院育ちのゲイの少年と、知的に少々問題のある少年、まわりから“ヤリマン”と揶揄される少女。
学校でどんなに無視されてもイジメられても強くある3人の高校生を明るく描く展開に「ダサポップでかわいい★」などとお気楽気分で観ていたら──
イタリア北部の田舎町を舞台とした映像の「楽しげな色彩」は、ある一瞬を境に「原色の生々しさ」に変わる。
思春期独特の、繊細さと傲慢さの共存。
彼らを支えようとする親たちのぎこちない葛藤にも共感。
要所要所にくさびのように打ち込まれるレディー・ガガの歌が力強い。

【CDジャーナル 2019年04月号掲載】