Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

きっと、星のせいじゃない。

肺癌ステージ4の少女が、骨肉腫で右足を失った青年とふつうに出会い、ふつうに恋をする。ふつうの言葉でたくさんの話をするが、彼らは泣きも喚きもしない。傍目には重い内容を、ときには冗談にすらしてしまう。若くしてふたりとも、自分たちに未来がないことを完全に受け入れているのだ。原作は2012年の全米ベストセラー小説。『(500)日のサマー』で軽快かつ切ない恋を描いたスタッフが、お涙頂戴的な要素を丁寧にぬぐい去り、重いはずのテーマをやはり軽快で切ない物語に仕上げた。だからこそ余計に心が動く。

【CDジャーナル 2015年08月号掲載】