Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

あなたを抱きしめる日まで

ある一瞬に、その人の人生全体が集約されてしまうことがある。本作の母親にとっては、息子から引き裂かれた瞬間がそれだった。50年以上前、敬虔なカソリックだった彼女は、ただ一度だけ、快楽のために、許されざる“セックス”をした。結果、修道院に入れられて出産、息子は取り上げられ3歳で養子に出される。彼女はその瞬間を鉄格子の中から見ていた──老いた今、彼女は家族にも秘めていたその事実を語り、息子を探し始めた。そして明らかになる修道院の実態。原作は実話で、今も多くの母子が互いを探し続けているという。

【CDジャーナル 2014年10月号掲載】