マリアンヌ
戦時中のモロッコで偽装夫婦となった二人の諜報員が、ナチス要人の暗殺という使命を果たして生き延び、互いに惹かれ、逃れ出たロンドンで本物の夫婦となる。空襲のさなか、愛娘も授かった。しかしその幸福は、夫が上層部から受けた通告で崩れかける──「君の妻は二重スパイの疑いがある。もしそうなら、殺せ」。何より主演の二人が美しい。夫役にブラピ、妻は『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』のM・コティヤール。抑制の効いた官能描写も切なく艷やか。ロマンスとしてもサスペンスとしても成立している、丁寧な良作。
【CDジャーナル 2017年07月号掲載】
マダム・フローレンス! 夢見るふたり
メリル・ストリープとヒュー・グラント、名優2人が小喜劇に挑む。オペラの殿堂カーネギーホールで“伝説の歌姫”となった実在の貴婦人、マダム・フローレンス。その歌声はどこか不安定で、音程とリズムに難があり、声域も狭く──要するに彼女はド音痴だった!(←これが“伝説”の理由) それでも彼女を持ち上げる周囲と、その賞賛を疑わない本人。滑稽を通り越して愛おしい。ゴールデングローブ賞主要4部門でも候補となった小粒だがバランスの良い一品、監督は『危険な関係』『あなたを抱きしめる日まで』のS・フリアーズ。
【CDジャーナル 2017年06月号掲載】