Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

歪んだユーモアを持つサイコパスとなった。同情はできない哀しさ。

世紀の悪人は、いかにして悪人となりしか。
アメコミの常で各キャラの出自は何度も違う形で描かれてきたが、バットマンの宿敵ジョーカーについては、これがもっともダーク。
堕ちていったのに、大きな要因などなかった。病の母を介護しつつ芸人を目指し、ピエロ役で下積みする男の小さな苦悩の積み重ね。本作はそれを丹念に描いた。
苦労人は、いつしか歪んだユーモアを持つサイコパスとなった。同情はできない哀しさ。