Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

黒人として生きることの閉塞感、見せかけの平等社会への違和感

戦争中の母国から裕福な白人夫婦に引き取られた黒人高校生のルースは、学業・スポーツ・討論、いずれも秀でた“学校のスター”。
彼が“名誉白人”として扱われていることは、たぶん本人も気づいていない。
だが、ある事件をきっかけに“彼はじつは危険な思想を内に秘めているのではないか”と、幸せだったはずの親子の断絶が始まる。
彼の中ではまだ萌芽でしかない、黒人として生きることの閉塞感、見せかけの平等社会への違和感を巧妙に描いた。