Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

モヒカン故郷に帰る

東京でデス・メタルバンドを組んでいた男が、恋人の妊娠をきっかけに故郷・広島の小島に帰る。広島といえば矢沢永吉、広島といえばカープ。島に住む両親の熱狂ぶりが、瀬戸内の静かな情景とアンバランスでおかしい。柄本明もたいまさこという芸達者の中で、松田龍平前田敦子らの若手が健闘。老練と未熟の共存は実社会、実の家族そのもの。ただまあ、“タイトルのまんまだな”というのも率直な感想。『南極料理人』『横道世之介』に続く本作で着実にキャリアを積みつつある沖田修一監督、今後に期待。

【CDジャーナル 2016年10月号掲載】