Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ズートピア

肉食・草食、大型・小型の動物たちがともにくらす大都会“ズートピア”。夢を信じる新米ウサギ婦警と、夢を捨てたキツネの詐欺師が、なぜかタッグを組んで街中を走り回ることに──。現代社会のあれこれを戯画化して盛り込んでいるのが楽しい。“努力し続ければ夢は叶う”という子ども向けのテーマの一枚下に“ダイバーシティ(多様性の尊重)”という大人向けのテーマが色濃く描かれているのは、本作が大ヒットした2016年が米大統領選の年であるのと無関係ではない。彼の地も今、“共生”と“排他”で国が二分されている。

【CDジャーナル 2016年10月号掲載】