“ラブ”から“ライフ”へ、ゆっくりと歌のテーマを移してきた槇原。以前はその乖離がぎこちなかったが、デビュー20周年目の本作では、両者すっかり馴染み合っている。“40歳のおっさんの恋がテーマ”という「In love again?」はおっさんなりに切なく、夏川りみへの提供曲「フルサト」は、想い人への気持ちと望郷の念を重ねて歌う。白眉はスカパラとのコラボ「おさらばだ」で、過去のB面曲「お元気で!」の歌詞を半分ほど書き換え、ビッグバンド風のアレンジに仕立てて、切ないラブ・ソングをダンサブルなライフ・ソングへと転換。面白い試みだ。
【CDジャーナル 2010年08月号掲載】