Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ゾンビーノ

どうせB級映画だと油断してたら、思わず爆笑。真顔でバカをやってるのにハマる。舞台は古き良き50年代風のアメリカ、豊かで牧歌的な憧れの郊外生活に、ゾンビが共存しているのだ。突然の宇宙放射能で大量のゾンビが発生、悲惨な闘いを経て、今やペットや召使いとして飼われている。主役となるのは、まるで新しい掃除機を買うようにゾンビを買った、ある幸せな一家。みんなどこか狂ってるのに、絵面が幸せそうなのが笑える。“人の死”の重い感覚を攪拌してくれるのも快感。人をバンバン殺して、でもみんな生き返るんだもの。欲張れば『シザーハンズ』的お涙映画にもできたところを、下手なヒューマニズムなど放り出し、よく耐えてお笑いに徹した。えらい。

【CDジャーナル 2008年06月号掲載】