Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

LIVE IN DOWNTOWN

一作前のアルバム『LIFE IN DOWNTOWN』の全国ツアーから、2006年6月12日の東京公演を収録。フル・オーケストラとコーラス隊を引き連れた壮大なコンサート・シリーズ『cELEBRATION』のDVD化が2作続いていたが、今回は一転、“故郷に帰っていろんな仲間に遊んでもらってる”感覚の、バンド・サウンドによる人情味あるライヴになった。若い頃の槇原が“僕”や“恋人”という狭い人間関係を見つめていたのに対し、最近の槇原は広い意味での“他者との対峙”を好んでいるように見える。たとえば一緒に音楽を作り上げていく仲間へのリスペクトだったり、自分を見守ってくれる故郷の人々への感謝だったり。コラボやカヴァーも含め“人と絡みながら音楽をつくること”を楽しんではしゃいでるので、観てるほうも楽しい。槇原、“アーティスト”というより“近所の世話焼きのおっちゃん”になりたいんじゃないかな、みんなから適当に愛されてる感じの。

【CDジャーナル 2008年03月号掲載】