Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

レディ・イン・ザ・ウォーター

中庭に小さなプールを持つ、とある小さなアパートメント。そこにはさまざまな国から来た、多種多様な人たちが暮らしていた。何気ない日々が続く中、アパート管理人の男の前に“水の精”である少女が現れたことから、このおとぎ話が始まる。少女を自分の世界に帰すために、男はある“伝説”を紐解こうとする。最初バラバラに存在していた住人たちも、次第に見えない糸でつながっていることが分かって──。『シックス・センス』ではそれなりに遠慮し、観客ウケなども考えていたシャマラン監督だが、本作では思うがままに自分の空想世界を描いたと見える。受け入れられる人には深く受け入れられ、そうでない多くの人には霞を食わせる、そんな一作である。

【CDジャーナル 2007年03月号掲載】