Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

電車男

オリジナルはネット掲示板への恋愛相談の書き込みで、「映画のような恋がホントにあった!」という現状打破感と、恋の経過がリアルタイムで報告される臨場感が読む人を沸き立たせ、“まとめサイト”と呼ばれる保存・一覧用のサイトができて一般人の知るところとなり、その後はご存じの通り書籍化・映画化・TVドラマ化・コミック化という多メディア展開で大成功。だが、物語が他の大メディアにコピー&ペーストされるごとに、売りであったはずの現実感が漂白され、見栄えよく再彩色されてしまった感はぬぐえない。要するに、原作を知らない人には共感のしどころが分からないお話かも。“映画のような本当の恋”を映画化してしまうことの難しさ。ううむ。

【CDジャーナル 2006年02月号掲載】