Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

ボーン・スプレマシー

緻密なスパイ・アクションとして一部に根強いファンを持つ『ボーン・アイデンティティ』の続編。記憶を失った男がなぜか命を狙われ、その理由を調べる中で自分がCIAの特殊工作員であったことを知る──。筋運びは決して親切ではなく、観客を主人公の苦悩に付き合わせるかのように、謎は謎のままで提示される。観る前に前作の復習が必須だろう。前作では説明されなかったCIA内部の陰謀や、主人公の過去も少しずつ明らかになる。そして特筆すべきは、そのスピード感! 終盤、モスクワの市街地を舞台としたカーチェイスでは、ハンディ・カメラを多用し、追う側・追われる側の視点を体験させてくれる。他では見ない迫力。だが正直、画面に悪酔いします。

【CDジャーナル 2005年08月号掲載】