Shota's Movie Review

2003年から「CDジャーナル」誌(音楽出版社 刊)に掲載されてきた映画レビューを再録しています。

2019-02-13から1日間の記事一覧

クワイエット・プレイス

冒頭からしばらく、音のないシーンが続く。音に反応して襲ってくる“何か”から逃れるため、主人公一家は地下に潜り、手話で生活しているからだ。しかしその“何か”は、全編を通してほとんど姿を現さない。その正体や由来が説明されることもないまま、観客は放…

インクレディブル・ファミリー

“いろんなスーパーヒーローが実在したらどんなにハタ迷惑か”というシニカルな自虐をまずは土台に築いておいて、あっという間にそれをバリバリと切り崩し、観客を惹き込んでしまう――ピクサー、やっぱり完全勝利。スーパーヒーロー一家を描く大ヒットアニメの…

2重螺旋の恋人

冒頭2分ほどで女性の美しさとグロテスクさの両極を映像にして惹きつけ、それからゆっくりとつまびらかにされていく端正な狂気。女性性を執念深く描き続けてきたオゾン監督が、本作ではそれに“双子の葛藤”という要素を加えてきた(=アイデンティティの共有と…